自己啓発本に従ってわくわく・楽しいことだけをしていくのは危険

読書が生活の一部となっている私のパソコンを1度起動すると、Amazonや楽天ブックスがスタート画面に立ち上がるような設定になっています。良書を発見してはワンクリックで購入。読破して、自分なりの☆を付け書籍の行方が決まります。

テクノロジー好きとしては全部ネット上で事が足りてしまいますが、時に気分を変えて本屋へ足を運ぶ事が月に1度くらいあります。世相を肌で感じるというか。

最近思うのは、Webでも本屋でもここ数年で自己啓発本の発売が非常に増えていること...そして、とても売れているのだそうです。

つまり答えを求め彷徨う人が増えているということだと思います。

全ての答えは自分の中に。

私は自分自身の人生における迷いやトラブルに対する全ての答えは自分の中にあると思っている派です。もちろん、例えばお医者さんに処方された服薬を「答えは自分の中にあるから、先生はこう言ったけど自分は飲まない方にわくわくする。」と勝手に用法・用量を変更したりはいけません。あくまで、自分自身で悩んでいる生活で困っている内容に限定します。

恐らくこれも、流派が分かれると思います。以前のコラムでも取り上げた、「人は変われる派」V.S.「人は変わらない派」のように。

最近の自己啓発本の多くは自分自身と向き合い、自分自身の行いを振り返るよう強調している気がします。それはとても良いことです。何か困ったり悩んでいる時に、書籍を読んでヒントを得て、自分自身の中にあった見失いかけていて本当の答えが見つかれば、安いもんです。

わくわく・楽しい事だけをしろ!

多くの自己啓発的な書籍が「わくわく・楽しい事だけをしろ!」と言います。「自分自身の中にある感情を見つけ、わくわく・楽しく感じることだけをして生きていく」というセリフを本当によく聞くようになりました。私もその通りだと思います。誰かが敷いたレールを歩くだけの人生なんてまっぴらです。本当に自分が叶えたい夢を仕事に出来るのならどれほどわくわく・楽しい事でしょうか。日常の忙しさに撲殺されている人々を勇気づける言葉の1つです。

しかし、私はこのフレーズに対して1つだけ懸念があります。ちょっと妙なことを言いますが、悪人だってわくわく・楽しく悪いことをしていて、人様を傷つけています。さらに物騒なことを言い続けるますと、例えば職場で自分が気に入らない同僚をいじめることも、弱い者いじめをするのももしかしたらその人達にとっては正義で、悪を退治することにわくわく・楽しく感じているのかもしれません。もっと言えば、シングルマザー・シングルファザーが乳飲み子の育児を放棄して、新しい恋人と一緒にいるとわくわく・楽しいからと遊びに行って帰ってこなくなれば、どえらい問題です。だから危ないのです、この言葉だけ真に受けたら。

わくわく・楽しい事だけをして人生を生きていくことを目標とすることに、異論はありません。私もそうしています。ただ大前提として、心の成熟が必要です。まず心が成熟した者が与えられる特権とでも言いましょうか、成熟を基盤に載せていく思想だと思います。

もし、心が成熟していない人が、劣等感や恨み、自己嫌悪などのNegativeなエネルギー源を元に、わくわく・楽しい事を欲してその為に活動してしまったら、社会へ悪い影響を与えかねません。なぜなら、自己中心的な言動で自分のわくわく・楽しい事を満たす為に、他人への悪影響も厭わないからです。

あと、心が弱っているときの「わくわく・楽しい事」も危険です。例えば憧れの部署に採用されやっと仰せつかった大きなプロジェクト。張り切りすぎて、プロジェクトチームである同僚の不真面目さに毎日ストレスを感じて体調を崩してしまいました。元々一緒に案を出しあった同僚だったので、なんだか出鼻をくじかれたようですっかり落ち込んでしまいました。

そんな時こそ危ない誘惑に、わくわくしてしまいます。心が弱っていると、危ない声にも善悪の判断がつきません。例えば、「プロジェクト内容をうちに渡してくれれば最高の結果がすぐに出るよ。」とライバルチームに極秘資料を渡してしまうかもしれません。他にも「あいつをチームから外して私をメンバーに入れた方が良いよ。」と立ち上げメンバーであった同僚を外してしまうかもしれません。もしくは、「この会社は私を輝かせる場所ではなかった。転職を考えるだけでわくわくする!楽園は他にある!」と憧れだった職場を自主退職してしまうかもしれません。

果たして、これは本当の「わくわく・楽しい事」だったでしょうか?体調が治ってメンタルも落ち着けば、「はっ!なんてばかなことを。」と気付いた時にはToo lateです。もう取り返しがつきません。

まとめ

“心の成熟なしに、わくわく・キラキラの人生は待っていない”と思っています。「じゃあ、自分は賢くないから良い大学も出てないし、今の仕事は給料が低く、成熟したくても心の成熟が出来ないから、人生終わりだ!」と捻くれる人がいるかもしれませんが、このコラム集で言う心の成熟はそういう意味ではありません。日々の生活の中で、どれほど他人に感謝し、他人から感謝されるか、喜んでもらえるかです。毎朝起きて、「あぁー今日も目が覚めて良かった。空気が吸えて良かった。雨風をしのげる家があって良かった。家族が居て良かった。水道から水が出て嬉しい。」そんな言葉が生活の中で腑に落ち始めたら、良いタイミングです。「わくわく・楽しい事」に従っても大丈夫でしょう。

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