「人は変わらない」 V.S. 「人は変われる」

「他人は絶対変わらないから自分が変わるしかない。」とか、「波瀾万丈を乗り越えれば人は変われるので子供に試練を与えるべきだ。」など、最近自己啓発本が多く発刊され色んなフレーズを見かけます。一体どれが正しいのでしょうか。むしろ正しいと評価するよりはどれを信じるか?なんでしょうね。大量の情報を瞬時に得られる時代になりました。どの情報を自分の体の中に入れて自分の言葉として発するのか?は結局は自分の選択次第なのです。ここで言う「変わる」はポジティブな意味での変化を指すことにします。つまりは「成長する」や「お互いに好影響を与え合う関係性に発展する」を示唆しています。そしてリーダーの気質とは?に迫ります。

私は「人は変われる」派です。つまりは「人は成長出来る」と信じている派です。多くの書籍を検索してみましたが、「人は変わらない」をキーワードに使っているのは多くのビジネス書でした。特にビジネスでの成功を促すための書籍などに見られQUICKな反応が欲しい状況で使われているように思います。ですが、彼らの言い分をもっと詳細に見てみると要は「人が成長するまで待ってられない」「人の成長なんかのんびり待ってビジネスチャンスを逃すな」という趣旨なんだと思います。目の前のプロジェクトを短期間で成功させる為には自分が置かれている状況や共同で働く仲間がどんなであっても自分さえしっかりしていれば必ず成功させられるという考え方です。

よくある例がこれです。あなたは昇進がかかった重要なプロジェクトのリーダーに選ばれました。やる気満々です。しかしあいにくのプロジェクトメンバーはやる気はありそうですが自分自身が下した評価によると仕事が遅い人や能力が低い上司や同僚がでした。ハズレくじを引いた気分です。彼らに仕事を振っても非常に非効率で思うような結果が得られないどころかミスを連発し余計に仕事量が増えます。とてもストレスフルです。

このような環境での自身の行動は2つ。①チームメイトに恵まれないことを愚痴るか、②上手にメンバーを利用して結果にこだわるか、です。そしてスマートに相手を動かす言葉や相手のやる気を引き上げる方法、笑顔で仕事を振り分ける方法など数々の書籍が推奨します。それらの手法を得てスマートに駆使していくという事になります。結果として自分が欲しい成功や業績を確実に收められます。

後ろ向きにこの手法をじっくりみていくと、基板には「人は変わらない」という概念が設置されています。その上に乗せていった思考です。確実に直ぐに結果が欲しい環境であればこの手法はとても役立ちます。私も含め多くの人がこれまで用いている手法だと思います。成功を収めたあなたは「優秀な実力派リーダー」の称号を得る事になります。

ただこの手法だと、成功が認められ次の仕事が舞い込んだときにまた同じメンバーだと、あなたはまた同じ手法を駆使して頑張らねばなりません。リーダーとしてチームを引っ張る1つの手法でもあるかと思いますが、プロジェクトが増える毎にあなたは疲れてしまいます。なぜならあなたが居ないと仕事が回らないからです。結果として仕事生産量は増えません。

一方で「人は変われる」を基盤にスタートする思考を考えます。プロジェクトメンバーは同じ、使えない人々です。プロジェクト期間はたったの3ヶ月しかありません。人に教育などしている暇もないのですが、「人は変われる」派では最初の2ヶ月を使ってしまってでもメンバーの教育に費やします。つまりはプロジェクトメンバーをあなたと同じレベルの実力にさっさと引き上げてしまうのです。この作業はリスキーです。なぜなら2ヶ月間を無駄にしてしまうかもしれないからです。ここで「人は成長出来る」と信じられるかどうかが問われます。

この信念の上に自身の行動を上乗せしていきます。まずメンバー全員に自身のノウハウやプロジェクトで必要な基礎知識を惜しげも無く分け与えます。1人ひとりがリーダーになるようなイメージです。そして出来上がったチームは全員が主役のオーケストラになります。あなたは自分のフルートだけに専念出来ますし、メンバーは各々好きな樂器を楽しく極めていくことになります。そして何重にも重厚に重なった音は唯一無二の音色になるでしょう。

結果としてそのプロジェクトは大成功です。前者の手法でも大成功でした。ここで大きな違いは次にまた仕事の依頼が来たときにいくらでも苦にならずに受けられるか、受けられないかという点です。後者はあなたが居なくても回るようなくらいの仕事の円滑さです。結果として仕事生産量が時間経過と共にどんどん差が付いていきます。

このように時系列で表示するとさらに見えてくる事があります。当初は「成功を収める」を結果として捉えていましたが、これは短期的な視点での結果でした。同僚とのRelationshipも短期的かもしれません。どんどん仕事依頼が来ればあなたも人間なので当然自身も疲れてきて、ビジネス書から学んだスマートな手法も維持出来なくなってきます。そしてメンバーとの付き合いにもヒビが入る可能性が大きくなってしまいます。

例えば育児、医療学生への医学教育にもこの後者が使われるべきです。つまりは誰かを育てるとは自身と同じ高いもしくは大きいレベルでの視野を与えるという事なのかもしれません。例え大人が引っ張って見た目の大成功を子供や学生に体験させてもそれは短期的で一時的であります。将来的に子供や学生が導く大人がいなくても自分で思考し結果を出す手法を出来なければ結果として仕事生産量が落ちてしまう結果となります。育児や学生を相手にした時の仕事生産量とは人生における豊かさという意味です。長期的で増え続ける豊かさです。短期的な結果としての成功があっても、長期的な成功はやはり「人は変われる」を基盤にスタートするRelationshipではないでしょうか。誰もが自分の人生や自分が行う仕事のリーダーです。このような自覚を持った人材が増える事で様々な分野での豊かさが多く生産されていくのだと思います。

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