1.自己肯定感 Self-efficacy

Dr.Kelly McGonigalは自身を health psychologist健康心理学者と呼ぶスタンフォード大学の人気講師です。実は大ファンです。神経学neuroscience と心理学psychologyを使いこなし現代人の「行きにくさ」を緩和する事を自らの使命とされ多くの講演活動に執筆活動に勤しまれています。「スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール」は2016年に出版されたベストセラー単行本です。このなかで自己肯定感と自己効力感に少し触れている箇所がありました。そこで今回はここを深く掘り下げていこうと思います。スタンフォード大学のエリート学生、エリート教員でさえも周囲にばれないように劣等感や不安を抱えたまま強がって生きている様子も書かれています。どんな高学歴であっても、どんな職業であっても、どこに住んでいても人の悩みは世界共通なのですね。

さて似たような単語を2つ並べてみました。自己肯定感Self-esteemと自己効力感Self-efficacyです。自己肯定感Self-esteemの方が少し聞き慣れているでしょうか。例えば、「自分は家族・友達みんなから嫌われてなんかいない。大丈夫!むしろ私は好かれているだろう。」と社会からの承認をちゃんと実感出来ている心理状態です。自己肯定感、ようは「愛されキャラ、愛され感」は高ければもっと良いです。「少々のミスをしたくらいで同僚やボスから心底嫌われるはずはない。また次にこの失敗を生かしてみんなの期待に応える仕事をしたい。」などと失敗や挑戦を恐れなくなります。自己効力感Self-efficacyとはこの続きのようなもので、「自分はどんな失敗をしても、どんな辛いことがあっても必ず乗り越えられる。だって乗り越えられる手段や方法を知っているし、自分の回りには助けてくれる人も必ずいるから。私なら出来る。」という「自分には出来る感」つまり自信です。対象は何でも良いです。明日は嫌いなピーマンを食べてみる、難関校の受験テスト受験、いつもより1段高い跳び箱でも良いです。不可能だと言われた商談の取り決めに臨んだり、ちょっと難易度の高いお料理への挑戦したりでも構いません。さらには、別に自分で乗り越えられなくても良いのです。信頼出来る上司に仕事でのミスを正直に報告し一緒に解決していくこのプロセスも自己効力感です。好ましくない状況はミスを隠そうとし、誰にも助けを求めず自分一人で問題を抱えてしまうことです。解決に繋がらないし、まだ逆転のチャンスがあるのにそれに気づかず悪い結果に終わります。そしてさらに自分の自己効力感を下げてしまう経験になります。またよく勘違いされる点は、無理矢理に根拠もなく思い込もうとする「私には出来る!」という短期的な鼓舞と自己効力感とは異なる事です。これは一時的に自分を騙してでさえもエネルギーを集めて目の前の困難へ取り組む手法ですが、勝率は五分五分です。なぜなら解決方法のストックが全く用意出来ていないからです。またあまりにも体への負担が大きすぎてこのやり方では長続きは出来ません。自己効力感は本来自然に溢れ出てくるもので長期的に不変でスムーズに事が運ぶ事が出来る能力です。勝率は限りなく100%に近いのです。もし新たに用意した解決策が例え著効しなくても、「あ、これではだめだ。でもまだ成功への途中であって、次の手法を試してみよう。」となります。つまり人は生まれてから成長していく中で、様々な挫折や辛い悲しい出来事に出会う度に自分で苦しみ考えぬき、解決策を見いだし、その通りに実行してみて乗り越えていきます。その成功体験から自己効力感が少しずつ上がっていくのです。逆に言うと、これらの経験なしには自己効力感は年齢が上がるとともに自動的に増えるものでもありません。

「愛され感自己肯定感Self-esteem」がありながら、「私はなんでも乗り越えられる感自己効力感Self-efficacy」が全ての人に宿っていたら生きるのに苦労はいらないですよね。とても良い理想の目指すべき心理状態ですが、多くの人は些細なきっかけで「私って嫌われてないかな?」、「私には乗り越えられない問題だ、私なんて無理・・・」と。自己肯定感Self-esteemと自己効力感Self-efficacyを下げようとする“ノイズ”が頭の中をうごめき回ります。時にそのノイズは強力で永遠に思考の中に入ってきて止みません。自分では止められない状況に追い込まれる時さえもあります。でも恐らく誰もが経験している現象でしょう。スタンフォード人でさえもそうでしたから。多くの人が同じ悩みを抱えてながらも精一杯生きています。良くないのは、「自分なんて・・・」ともっと自分を責めてしまうことです。まずはいったん、自分虐待をやめましょう。そして、どうやって自己効力感Self-efficacyを上げていくのかを考察していきます。

自発的なモチベーションから出た欲求は、「夢」や「目標」と言い換えられます。自発的なので源泉温泉のように湧き上がりますし、枯渇しないエネルギー源になります。夢の途中なのでその過程で出くわす苦労や試練であっても楽しいですし、しんどくも感じません。この過程で出会った友人、同僚も同じゴールを目指しているので、長い期間で付き合える本当の親友にもなりえます。本当の友達やパートナーに出会いたければ、自分の自発的なモチベーションからでた夢や目標を見つけることです。そして「自分の心からの欲求」へ向かってスタート切った以降に出会った人が本当の友達やパートナー、同僚つまり真の仲間に出会えるのだと思います。まさに鬼退治に行く桃太郎状態ですよね。目標の途中で彼は出会う動物たちに会う度に毎回自分の目標とそのモチベーションを伝えました。誰に話しかけても大丈夫という自己肯定感の高さもうかがえます。「村を鬼の恐怖から救う事が目標で、みんなをハッピーにしたいという自発的なモチベーションがあります。」と。(原本ではこのように話しませんが)そして理解した動物達が自発的にチームに加わりました。ここもポイントで、参加した動物達はみな自己効力感が高いのです。なぜなら鬼退治という前人未踏の偉業を行おうとしている桃太郎にも怯まず対等に接し、自分自身にはこの偉業達成の為に役立てる技量があると自覚出来ているのです。もしこの自己効力感が低ければ、鬼ヶ島までの道のりの間に何度もドロップアウトを申し出たかも知れません。「桃太郎さん、きび団子もらっておいてなんですけど、私もしかしたら役に立たないかもしれないけど、ほんとにメンバーで良いですか?」「私なんかで本当に良いのでしょうか」 「私は何をしたら良いでしょうか?教えてください。指示をください。」

このような会話は原作ではありませんが、もしこのように聞かれても桃太郎はきっと「自発的」を尊重したと思います。そして笑顔で優しくこう言ったかも知れません。「もし不安ならもしくは少しでも嫌だなと思うなら、一緒に来なくて良いですよ。成功を祈って村で待っていてください。」「逆に何なら出来ますか?」「自分が得意な事だけをしてくださるだけでそれが貢献になります。」などと言ったかもしれません。集団に属する個々が最も得意なことを発揮し集団が目指す同じゴールを達成しようとするのが、「真のチームワーク」です。私はこれが得意だからこれをするけど、あなたは何が出来る?と聞かれた時に即座に返答出来る「私にはこれがある」を日頃から熟知しておきたい所です。知っておくことで何が起きても素早く対応出来るからです。これは私一人で大丈夫、あれは誰かの力が必要だ、と仕分けが出来ます。例えば1時間の講演を頼まれた時に、「このテーマなら準備さえ時間かけてすれば出来る!」と思えるネタのストックがあるかどうか?や、自分では解決出来ない問題でも「あの人に聞けばノウハウを教えてくれるはずだ。」と解決への道が見えているかどうか?です。もし重要な仲間に出会えたなら、相手が不得意とする分野は実は自分が得意な箇所だから良いコンビになれるだろうとすぐに判別がつきます。大切な人との出会いも逃しません。

人間社会では桃太郎の旅よりはもう少し複雑でかかる時間も日数も長いので少し様子が異なるかと思います。自分の目標やモチベーションを伝えても同意が得られない響かない人、賛成しないだけでなく反対してくる人、さらに上回って意地悪をしてくる人、せっかく合流しても何らかの理由で途中脱落する者など、途中脱落かと思いきや踏みとどまる人、様々です。大切なのは、自分の体の奥底から湧き上がる自発的なモチベーションです。ただシンプルに本当に自分が大切なものを見つけ、どんどん経験して行くことです。初めての経験は誰だって怖いものですが、信頼出来る人となら前にも進めます。これが自己効力感アップへの近道だと思います。

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