腱障害tendinopathy ②

使い過ぎなどにより腱に炎症が最初に生じると、じんじんと腫れ痛みとなって体に現れます。この時点で病院に行くと急性期腱障害の腱鞘炎や腱炎の状態を指すtendinitisという言葉が当てはまり、医師からは炎症を抑える為の痛み止め(抗炎症剤)が処方されるのが昔の治療法でした。実際この時期に細胞を取って顕微鏡で見ると、炎症細胞が多く見られます。

しかし、中には病院に行かずに我慢しているうちに痛みが少し治まるケースがあります。痛みがゼロにはなりませんが、そこまでひどくないし病院の都合も合わないと放置します。その間に仕事もしますしスポーツもします。時々痛む程度で日常生活に問題はないレベルです。この時期に腱から細胞を取って調べてみると、炎症細胞が見つからない病態が意外に多い事が報告されています。炎症細胞がいない代わりに、腱の退行性変化が目に付きます。これをtendinosisと呼びます。腱成分の配列が乱れていたり、腱自体に張りがなくなってたるむように太くなっていたり、治癒を促進する作用を持つ細胞が多く集まっていたりします。つまり、前回とは若干異なる病態です。痛い(炎症が起こっている)のに炎症細胞がない慢性経過例です。このような例に、炎症を抑える為の痛み止め(抗炎症剤)処方は正解でしょうか? 2002年にカナダの研究者Dr.Khanが不要な抗炎症剤の処方過多にメスを入れました。

しかし、いずれにせよ「痛み」という客観的評価が軸になっているので、痛みに弱い人と強い人によって表現も異なります。少し痛いだけでも食事が喉を通らない程辛く感じる人もいますし、逆に慣れてしまって「全く痛くない」と表現する人もいます。つまり、医師は外から患者を診たり話を聞いただけでは、今目の前の患者がtendinitis なのか、tendinosis なのかは分からなくなりました。それなのに、治療法は相変わらずの痛み止めの処方だけで果たして良いのでしょうか?

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