けんか上等

急にすみません。けっしてヤンキーに職業を変更したわけではないのですが。Diversity(多様、様々な人種)の中で生きていますと毎日が生き残りをかけた日々といっても過言ではないです。日本の義務教育を真面目に受けてきた者として、「けんかはしてはいけない」と習いました。そうです、けんかはいけません。もしかすると「けんかをふっかけてはいけない」という教えだったのかもしれません。しかし現実社会、自分は一切望んでいなくても突如けんかを売られる時があります。その対処法はどのようにするのが良いのでしょうか?確かそれは習っていませんし、けんかを売る場合と売られる場合と明確な違いとその対処法は習ったでしょうか。

私たちは世界でも稀に「平和の象徴」を誇りにしています。「平和ボケ」という言葉もあるくらいです。これは皮肉にも聞こえますが、世界中の人はぼーっとしたままでも安全に平和に生きられるものなら誰だったそうしたいものなんです。そんな平和を最も重んじる私たちが移民の国アメリカで生活していると時に、人種も文化も価値観も異なる人々から想定外のけんかをふっかけられることも少なくありません。なぜなら慣習としての戦闘態勢を毎日している生き方に我々は慣れていないからです。ぼーっとしていると狙われます。「なめられている」、「ちょろいと思われている」と表現する人もいます。我々の感覚からは理解しにくいですが中には自分個人の利益のためなら人のものを奪おう事を厭わず、目的の為なら手段を選ばず同僚や仲間へさえも裏切り攻撃してくる人もざらにいます。コミュニティの種類・大きさに関係なく「平和と秩序」は尊いもので、人種も文化や価値観が異なっても本来皆が尊重し守るべきものです。絶対に譲れない個人の尊重や私生活、自分一人で実施した仕事などの尊い領域が侵されそうになったら「あかんもんは、あかんっ!」、「NO = 嫌や!」もしくは、「NO = あかん!」を言わねばなりません。自分の身の安全を守るため、自分のアイデンティティを死守するため、けんかはしたくなくても売られた時には戦わねばなりません。しかも英語で。ハードルが高すぎます。がんばれにっぽん。今回は「けんかを売られた場合」の対処法を切り裂いていきます。


成熟した大人同士による冷静で論理的な話し合い

日本人海外赴任者を見ていると売られたけんかへの対応方法を知らずに戸惑っている姿を見かけます。なんとしてでも勝つ!という気合いもありません。そりゃあ無理もありません。だって慣れていないからです。そんな事しなくても平和に周囲と協調して生きる方が断然良いに決まってるからです。優しくて芯が強い、一生懸命、真面目、笑顔、言われた仕事をきっちりこなす、約束・時間を守る、同僚や仲間を思いやる、協調性を持ちつつもリードが出来る、日本人労働者の良い点を上げたらきりがありません。もちろんすべての日本人がそうだとは言えない最近のご時世なのは残念な点と、何人であっても世界トップクラスの人にとって共通する点であることは言っておかねばなりません。それでも世界で活躍する日本人を見かけるたびに自分も同じ国で生まれて育って良かったと心底思います。

ただ、ここで勘違いしてほしくないのは決してジャークJerk(邪悪)と同じレベルで誰か攻撃する事を勧めているのではないという事です。正当防衛をしてジャークから、その「美しさ」や「真実」を守り抜いて欲しいのです。ちょっとだけ強くなって欲しいのです。「けんか」という言葉はなぜか我々を「してはいけないもの」という少しネガティブな心理にさせます。きっとそれはこれまでの教育に反する可能性を思っているからかもしれませんね。しかし特に大人のシチュエーションではけんかとは言わずに、「成熟した大人同士による冷静で論理的な話し合い」と置き換えられます。

相手からの一方的な攻撃をかわすだけが正当防衛ではない

正当防衛self‐defenseとは、急迫不正の侵害に対し、自分または他人生命・権利を防衛するため、やむを得ずにした行為をいう。正当防衛は、それが構成要件に該当しても犯罪が成立せず(刑事上の正当防衛)、他人の権利を侵害しても損害賠償責任を負わない(民事上の正当防衛) 。

引用:ウィキペディア


被害にあっている優しい心の人を見ていると、相手の攻撃をかわすだけもしくは最小限の被害で済ませるのが精一杯です。しかし、それでは相手はいつまでもたっても黙りません。なぜなら相手は無被害で、けっして何か悪いことをしていると気づけないままだからです。ゲンコツを落として気づいてもらわねばなりません。よくある例は、部下や同僚に自分の仕事を押しつけて彼らの技量や努力、時間を利用するだけ利用し、上司には「私が頑張りました!」と業績を自分のものだけにする人です。もしかすると、皆さんの周囲にもたくさん居るかもですが。もし上司が間抜けでこの悪事を見抜けないなら彼らは昇格のチャンスを得るかもしれません。こんな人が昇格してさらに権力を持ったら最悪です。権力を悪い方向に使ってどんどん悪事と被害者が増える一方です。

しかし実はジャークは今自分が行っている言動が相手を傷つけている不正な行為だと理解出来ていない例が多いのです。なのでいつまでも意地悪や不公平なことをし続けてきます。私たちの「普通の感覚」でいくと、「人のものを奪ったり、嫌な思いをさせてはいけない!」と“普通に”分かりますが、気をつけたいのはこの「普通」のポイントが大きくズレているという事です。いつまでも奴らに「こいつちょろいぜ」と思わせないために、やるなら徹底的に1度は本気で戦い、ちゃんとこちらが不快だと分からせねばなりません。お互いに利益がある関係性(win-win relationship)以外はお勧めしません。そのために、この世にルールや規則が存在するのです。違反を取り締まる組織も存在するのです。悪事をやめさせるまで、黙らせるまで、が正当防衛です。ジャークの精神面の成長まで面倒をみてやったらほんとに親切な人だなと尊敬してしまいます。「親分肌」や「兄貴肌、姉御肌」という意味ですが、相手も良い大人なのでそこは本人に委ねても良いかと思います。

感情的になったら「負け」

自分がこれまで一生懸命に大切に育ててきたものが、いざその収穫の時期が来て誰かに盗まれたらそりゃ誰だって怒りますよね。リンゴ農園でリンゴを盗めばこれは横領罪ですし、可愛い幼い我が子が連れ去られたらそれは誘拐です。いずれも絶対に許されません。いずれも盗まれた方は心理的に相当傷つきます。「しょうがない、また来年作れば良いか」とは絶対になりません。なぜこんなにも傷つくのでしょうか?それは、あなたのアイデンティティの一部だからです。文字通り体の一部です。絶対譲れないものです。身も心も捧げてたら仕事も同じです。一生懸命あなたの時間、頭脳、努力、全部を注いで来ました。企画書1枚、でもあなたは魂を込めて作ってきました。何人もこれらを奪うことは許されません。

しかしながら現実世界では、仕事、業績に関しては横領が頻繁に起こっています。「自分が行った仕事以外は自分の物ではない」、と明確なはずです。自分が買い物に行ってないなら、職場の休憩室に置いてあったコンビニのおにぎりは自分の物ではないと誰でも理解出来ます。

こういうシチュエーションを想像してください。心を込めて何年もかけて作成した企画書にはもちろん筆頭企画責任者にあなたの名前が記載されています。もしこの企画が通れば今後の業績に繋がります。そして共同の企画実施者として信頼出来るボスの名前も連名で書いてあります。そこに突如、自分よりも経験年数が多い年上の専門家を名乗る人が現れて書類の内容をチェックしてあげると提案してくれます。とても友好的な姿勢です。正直少し専門的な内容に自信が無かったあなたにとっては専門家が見てくれるなら安心だと書類を見せます。その直後、企画内容や今後得られるであろう業績が魅力的であったが為にその自称“専門家”が自分を筆頭企画責任者に入れ替えるように強要してきました。そしていかにもな感じでこう言います。「自分の経験年数が多いので自分の名前を使う方が企画は採用されやすい」。企画は採用されない限り実施に繋がらないので向こうが言っている事はもっともぽくも聞こえます。もしくは、Emailで送るように言われたので送ったところ断りもなく勝手に名前を追加して上司に提出していたり、企画のプレゼンテーション大会にも応募したりしていました。

さて、どうしましょう。
1.自分より立場が上の人なのでここはぐっと我慢して荒波を立てず意向に従う
2.この企画の責任は全て作成者の自分にあるので一切の関係を断る
3.自称専門家が自称だけでなくその道の本当のプロで、彼らをチームに加える事で企画内容が向上するなら、筆頭責任者ではなく補助者としてメンバーに加える

選択肢1は一言で言って泣き寝入りです。我慢ということは本音は嫌なんですよね?本当は嫌だけど嫌だと言ってはいけない状況のような空気だと読解した上での決断でしょうか。しかしその空気は相手には通じていません。納得がいかないなら一度相手の本心を聞いてみても良いでしょう。本当に悪気がなく気軽に提案しただけなのか、取る気で来ているのか。こちらが勝手に読解した空気は誰にも正解かどうか分かりません。空気は1人1人異なるからです。

選択肢2はシャットアウトですね。もし自称専門家が名の知れたジャークでこのような悪事の常習犯なら関わらないのが一番です。真摯な態度を貫きましょう。加えられない理由、チーム全員からの賛同が得られなかった、期待出来る貢献度が低い、実績が低いなど、様々な角度から論理的に説得してください。感情は入りません。淡々と話しまた書面で示せば良いです。

選択肢3はスマートと呼ばれる行動です。専門家のお力を借りながらもあくまでこの企画の一番の責任者・キャプテンは自分だと主張してチームの協調性を優先し個人の勝手な行動を許しません。もし他のチームメイトに被害が及べば自称専門家をチームから外すことも厭いません。ルールを示した書面に署名をさせるのも良く実施する手段です。

他にも信頼できる人に意見を求めるや、様々な選択肢が存在します。好きな方法を選べば良いでしょう。冷静に対処するだけで何も恐れる事はないのです。今後はさらにこのようなめんどくさい事態を避ける為に、「見せるだけで共同企画者として連名はしてあげられないけど、もしアドバイスくれるなら嬉しい。ありがとう。」くらいは事前に言っておいてから書類を見せても損はありません。もちろん笑顔でさらっとです。

業績だけが取られてはいけない理由ではない

一番大事な事は業績も悪い面も両面を含めて責任は企画責任者にあると言うことです。万が一の事故や副作用が起きた時の対処法も熟知しておく必要があります。もしチームメイトに何か事故が起こってもその責任は責任者にきます。また実際にこの企画を実施してみて数年後には良い結果が出て世の中に広まったけれども、数十年後には当初良い結果と思ったものが実は悪影響を数十年間かけて引き起こすきっかけだったかも知れません。目先の業績だけが目当てな人はここまで考えが及んでいません。事故が生じたら責任を取らずに一目散に逃げるのが目に見えています。事故、副作用、一生に渡って責任をとり続ける覚悟も業績とセットです。その舵取りは発案者にしか出来ません。なのであなたが作り上げたものを易々と誰かに渡してはいけないのです。事故や副作用で被害者が増える危険もあるからです。この展望までも含めてが本当のプロの仕事です。うわべの“良い人”を演じて戦わずに渡してはいけないのです。

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