細胞レベルで腱障害!

昔、研修医の時に天才整形外科医の異名を持つ上司から言われて今でも覚えている言葉があります。「手術に絶対はないから「治ります」と言い切ってはいけない」です。当時はその真髄が分かりませんでしたが、医学研究を始めて5年が経ちようやく意味が分かってきました。確かに手術というものはそもそも怪我を負って壊れた運動器を正しい位置に戻す事が使命です。バラバラに分かれた骨や靭帯を再度つなぎ合わせる、さらには不足している物を別の運動器をもらって再度作り直す再建術、動きを阻害する因子を取り除く切除術など多彩に渡ります。要は物理的な問題を解決していきます。一方、普段のスポーツ活動や生活の中でじわじわと時間をかけて損傷していく「障害」は、細胞レベルでの問題が原因だと解明されてきました。これを加齢性変化Degeneration1つで片付けてしまえばそれでおしまいですが、ここに焦点を当てた治療をしているのがPM&Rが実施する運動器の再生医療です。細胞レベルからの治療で「治す」を狙っています。

ここで中高年テニスクラブを例に挙げてみましょう。仲間うちでだいたい同じ練習量であったにも関わらず、意外にも最年少の40歳台の選手に何ヶ月も何年も続く肘の腱障害(いわゆるテニス肘や腱鞘炎と呼ばれる)の使い痛みがあるのに対し、ベテラン愛好家には痛みがありません。もちろん、テニスが上手いか下手かも大きく関与しますが、一概に年齢だけで片付けられない頻繁に見かける事例です。他のベテラン選手が同じ使い痛みを2週間で治める事もあります。本来人間には自己治癒能力があるので腱鞘炎くらいは少し休めば自然に良くなりたいものです。しかし、改善するのに時間がかかる人とかからない人、全く良くならない人は何が違うのでしょうか?老化現象なら年齢に比例するはずです。

答えはhuman Tendon Stem Cells (hTSCs) やその分化が進んだテノサイト Tenocyteという人間の腱に存在する細胞達の不具合が腱障害の正体だと分かって来ました。つまりは、腱障害を語る時に細胞レベルで話をしないといけないという時代になっています。

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