Regenerative Medicine -新しい治療法の幕開け-

前回のコラムでは聞き慣れないキーワードが2つ、「超音波ガイド下注射」と「再生注射」が登場しました。 「超音波ガイド下注射」は文字通り、超音波画面をガイドとして使用しつつ注射を実施する治療法のことです。日本国内でも少しずつ整形外科医の間で認知度があがって来ています。靭帯や腱、関節、末梢神経などの標的そのものをまず超音波で写し出しその画面を維持しながら、注射針を刺入します。標的に到達するまでの注射針の進入経路を超音波にてリアルタイムに写し出し、針先が標的に到達した時点で注射液を投与します。薬剤が広がる様子も超音波モニター上で確認出来、神経を直接誤穿刺するリスクや血管内への謝った投与を回避する事が出来ます。つまり、寸分の狂いがないのです。

それではなぜそのような卓越した技が必要かというと、損傷している運動器組織に再生細胞を確実に投与する為です。これが、損傷した運動器組織の再生を期待した「再生注射」で、Regenerative medicineと言われる新しい運動器治療法の1つです。

2014年に右肘を負傷した田中将大投手がアメリカに渡りPRP(Platelet-Rich Plasma、多血小板血漿)注射を右肘に受けた事がニュースになりました。2017年末には大谷翔平投手も同じ治療を受けています。プロスポーツ選手のみを適応とした特殊な治療法にように聞こえますが、欧米では費用さえ自己負担すれば誰でも受ける事が出来ます。全ての再生注射には医療保険での補填は一切ありません。言い換えると、患者は好きな医師や医療施設を選ぶ事が出来るのです。施設により費用も異なりますが、1つの再生注射は日本円換算で約8−15万円かかります。Regenerative medicineという言葉で一般の人々に広く浸透していますが、医学学会ではOrtho-biologic Medicineの名称を使う流れになってきています。Ortho-biologic注射を代表するのが、田中選手らが受けた自己末梢血液から作成するPRP注射と骨髄血から作成される幹細胞注射(Stem cell injection)です。最近では患者の余っている皮下脂肪から採取した脂肪細胞由来の再生注射液を作成する技術も開発されており、非常に期待が膨らみます。

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